3件目は冨田工藝さん。
こちらでは仏像や、位牌などの仏具の制作をされています。


今回ご説明いただいた方は、実は京都造形芸術大学の卒業生! ご家族がこちらの工房の方と知り合いだったことが縁になり、仏像などへ興味を持ち、勤め始めたそうです。始めはアパレル業界を目指してファッションを学ばれていたそうですが、このように何かキッカケがあれば、別の領域からでも職人やもの作りの世界に入ろうという人が生まれるのかもしれませんね。


奥の作業場には、製作中の仏像が多く置かれていました。この仏像制作は10年で1人前と言われるそうで、最初の内は「仕上げ」と呼ばれる、像の端々を綺麗にする作業から担当するそうです。
また、仏像の他に取り扱っておられる位牌についてお話をお聞きしたところ、日本では今は中国製品が9割を占め、残りの1割の生産を国内で行っているそうです。安く手に入るのはいいことですが、私は大切な人の位牌を作るのであれば、やはり安さよりも自分の国で生産された手間ひまかけて作られたものにしたいなぁと思いました。
4件目は、桐箱職人さん。
今回お会いした職人さんの中ではかなり年上でした。こちらでは、職人さんのとてもにこやかな対応に、ツアー中の私たちも思わずほんわか〜な雰囲気に。



「こう組み合わして作っていくんやで〜」と、製造途中とおぼしき桐の板を見せながら(左の写真)、とても丁寧にご説明いただきました! 今回のために準備してくれたのかと思うと、とてもありがたいです。
右の写真のような桐箱は、掛け軸を入れるためのものだそうです。実際に持たせていただきましたが、とても軽くて一同びっくり! ちなみになぜ桐の箱を用いるのかというと、表面がすぐに焦げて炭化し易い反面、それ以上中が燃えなくなるため、中に入っているものまで焼けてしまわないからだとか。
このため金庫の内張りにはこの性質を利用して、今でも桐材が使われているそうです。素材を知り尽くしている先人たちからの知恵、ですね!
最後に、近年新たに発掘された登り窯、道仙化学製陶所 跡地を見学しました。この場所は立命館大学文学部考古学コースの方々が発掘されるまでは、窯は埋められ、桜の木が植えられていたそうです。


こちらは日々の暮らしの中で使う器ではなく、「化学陶磁器」と呼ばれる特殊な焼き物を焼いていた窯。主に、電線を絶縁するのに使われる「碍子(がいし)」などを作られていたそうです。
このすぐ近くは住宅やお店が建ち並び、人々が行き交う五条通。しかしとある路地に踏み入ってみると、奥には小規模ですが、最初に訪れた藤平さんの所とはまた違った角度から人々の暮らしを伝える登り窯が待っていました。
……以上でまか通ルートのツアーは終了となり、東山区役所へ。アンケートを記入したのち、解散となりました。13時から15時というまさに雨雲が直撃した中でのイベントでしたが、参加された方々からは積極的に質問が出、またメンバーも参加者も和気あいあいとした良いツアーになっていたと思います!
今回お訪ねした職人さんやそのお仕事、登り窯は、一見するとただの「古い、昔のもの」かもしれません。
ですがそこには確かに今も「美」と感じるものがあったり、
大切にしたい「知恵」や「精神性」を持っていたり、
人々の暮らしと共に在った証を今なお伝える「生きた場所」であったり、
見れば見るほど、知れば知るほど心を揺り動かされるものたちでした。
現代に生きる私たちにも伝わる何かを持つのであれば、歴史はあっても、決して「古めかしいもの」では無いのではと思いました。
ですのでもし、「そういえば職人さんの手しごとや品物ってじっくり見たこと無いな」という方がいらっしゃれば、見る機会が巡って来た時はぜひ!そちらに足を運んでみて下さい。実際に見て、触れることで、新たなものの見方が得られるかもしれませんよ。
なお、「まか通コース」も含めた全コースの報告は、「まか通ブログ」の方でメンバーたちから行われる予定ですので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね!
以上、中村でした。
ラベル:まか通