2012年06月11日

今熊野猿楽復活プロジェクト 取材報告

こんばんは。月曜日更新担当の中村です。
今週はまか通プロジェクトの活動報告はお休みし、代わりに新たに担当となりました「今熊野猿楽復活プロジェクト」の取材情報についてお伝えします!


今熊野猿楽復活プロジェクト」とは……
室町時代、京都市東山区にある「新熊野(いまくまの)神社(下の写真)の境内で演じられた猿楽の再現に向けて動いているプロジェクトです。
猿楽とは奈良時代に中国大陸から伝来した「散楽」を母胎としてつくり出されたもので、物真似や曲芸、手品などの娯楽芸として庶民に広まり、また宗教儀礼とも結びついていきました。

新熊野神社

1374年には観阿弥・世阿弥父子らが猿楽結崎座を率いて「今熊野勧進猿楽」を新熊野神社で行っており、その際見物していた室町幕府第三代将軍の義満によって父子が見出され、以後将軍の庇護を受けるようになりました。「観阿弥」「世阿弥」という名も義満が名乗らせたものだそうで、それ以前は観阿弥は「観世清次」世阿弥(1374年の時点で12歳)は「藤若丸」と名乗っていたそうです。二人は猿楽の芸術性を高めようと日々研究努力を重ね、世阿弥は父の志と芸風を受け継ぎ、能の形式「夢幻能」を大成させていったとされています。

今熊野猿楽復活プロジェクト」は、当時の猿楽がどのようなものだったのか、今一度見つめ直し、実際に猿楽を演舞披露します(来年秋を予定)。そして、猿楽の高い芸術性や、能楽を生み出しだ世阿弥の偉大さをいずれは地元で伝承していけるよう、演舞披露は以降も続けていくのだそうです。

その演舞披露に先駆けて、「今熊野猿楽」の演舞を描いた「今熊野猿楽復元図」(今年4月末に完成)、観阿弥・世阿弥父子と義満の機縁を描く「世阿弥 義満 機縁の地」(今回取材したもの)の石版レリーフが制作され、学生たちの手により彩色作業が行われました。
今回ご報告させていただく「世阿弥 義満 機縁の地」への彩色は、6月8日(金)から始まり、9日(土)、10日(日)と続けられ、本日11日(月)に仕上げをされ、完成となりました。私が取材したのは初日の8日と最終日の11日になります。

下地塗り作業 彩色と修正作業 1日目 夕方4時頃の進捗状況
初日の作業の様子。作業はすべて新熊野神社境内で行われました。
今回の彩色作業に関わったのは、全員で3人。左端の写真、画面左から高橋真那さん(美術工芸学科)、田中杏奈さん(情報デザイン学科)、近藤里香さん(美術工芸学科)です。京都造形芸術大学教授の関本徹生先生を通じ、新熊野神社からのレリーフ制作依頼を引き受けられました。

さすが芸大生!というべきか、皆さんとにかく作業スピードが早く驚きました。左端の写真は作業開始してすぐの午前10時過ぎなんですが、中央の写真・午後1時の時点では既に下地塗りが完了し、色塗りが進められています。右端の写真は午後4時頃で、ベースとなる色をほとんどのせ終わった状態です。あっという間に、石版レリーフの姿が変わっていきます。

完成予定図こちらがレリーフの原案となったイラストです。世阿弥と義満が出会い、能楽大成のキッカケとなった新熊野神社でのエピソードなどを元に、同じく京都造形芸術大学の学生である松岡岬さん(情報デザイン学科)が描かれたものです。
イラスト内左端から、観阿弥世阿弥義満となっています。ちなみに義満の服の色は、レリーフ上で実際に塗った際、まわりの石の色とかなり近くなって見にくくなるとのことで、赤色へと変更されました。
 
最終日 朝10時、開始時のレリーフ 最終日の作業状況です。この日は高橋さんと近藤さんの2名が作業に参加されていました。左の写真は、朝10時(作業開始時間)時点でのレリーフです。もうほぼ完成に近い状態ですね! 残る作業は能面周辺の白色をよりぼかして「幽玄さ」を出すこと(下の写真、左。高橋さんの作業)、彫られた文字に色を付けること(下の写真、右。近藤さんの作業)です。
現場に来ている関本先生とも話し合いながら、仕上げの作業が進められていきます。
 
 
ぼかし作業の仕上げ 文字への着色作業
ぼかしは水をたっぷりと使って薄めた白色の絵の具を筆で置きながら、キッチンペーパーでぽんぽんと広げます。また文字への彩色は、色のはみ出しは勿論、塗り忘れに注意しながらしっかり塗り進められていきます。


はみ出した色の修正作業 ぼかし部分の相談
左)絵の具がはみ出した部分はアセトンで落としたり、カッターナイフで絵の具を削り落とします。どうしても色が残るところもあるので、その部分はレリーフを彫っていただいた職人さんに頼み、削り落としてもらいます。
右)関本先生と高橋さん、「ぼかし」について話し合い中。絵の具の性質や石版への彩色ということもあってか、ぼかしの表現はとても難しいようです。


そして、お昼の12時……

世阿弥 義満 機縁の地 完成!!

彩色作業が終わり、ついに!完成しました!
皆さん、お疲れさまでした!

右の写真、画面右端にあるのが、今回の石版レリーフ「世阿弥 義満 機縁の地」。
中央にあるのは、世阿弥・能楽・新熊野神社の関わりが説明されている看板
左端にあるのは、今年の4月末に完成した「今熊野猿楽復元図」になります。こちらは、今回の作業に参加されていた田中さんが原案となるイラストを描かれています。
仕事を依頼された新熊野神社の宮司さんいわく、この3つで1組の作品となっているそうです。

石版レリーフの制作および彩色作業は、本日で無事終了となりました。しかし、今熊野猿楽復活プロジェクト」はまだ終わりではありません。
今熊野猿楽のビジュアルと、世阿弥らの機縁やこの地域との関わりを伝えるためのものが揃っただけで、むしろ本番はこれからです! 来年秋の演舞披露に向け、着々と準備が進められていきます。今後も取材させていただく機会があるようなので、その時はまた、こちらのブログやFacebookなどでご報告させていただきます!

ちなみに境内のレリーフは、神社へ行けば誰でも見ることができます。是非、足を運んでみて下さいね!

新熊野神社の大楠〜新熊野神社への行き方〜

京都駅から市バス208系統に乗り、「今熊野」で下車。バス停から南へ徒歩3分。大きな楠が目印です。
※バス停「今熊野」には208系統の他に、202系統、207系統が停まります。
※地図や神社に関するより詳しい情報をご覧になりたい方は、新熊野神社のホームページへ

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

中村
 


ラベル:今熊野猿楽
posted by プロオペ at 22:57| Comment(2) | 中村 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。